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人を死に至らしめる恐怖の寄生虫!?「日本住血吸虫」


【ゆっくり解説】115年続いた地方病「日本住血吸虫」の恐怖

かつて日本で地方病と呼ばれた病気があったのをご存じでしょうか?
長い間原因がわからず、住民らに多大な被害を与えていた病気のことです。

今回は、その地方病であった「日本住血吸虫症」について紹介していきます。

発症するとどうなるの?

まずセルカリアが侵入した皮膚部位に皮膚炎が起こる。次いで急性症状として、感冒様の症状が現れ、肝脾腫を認める場合もある。慢性期には虫が腸壁に産卵することから、発熱に加え腹痛、下痢といった消化器症状が現れる。好酸球増多も認められる。虫卵は血流に乗って様々な部位に運ばれ周囲に肉芽腫を形成するが、特に肝臓と脳における炎症が問題になり、肝硬変が顕著な例では、身動きができないほどの腹水がたまる症状が出て、死に至る。また脳においては、てんかん、痙攣などの症状が現れる。最終的には腹が膨らみ死に至る。

寄生された宿主は皮膚炎を初発症状として高熱や消化器症状といった急性症状を呈した後に、成虫へと成長した吸虫が肝門脈内部に巣食い慢性化、成虫は宿主の血管内部で生殖産卵を行い、多数寄生して重症化すると肝硬変による黄疸や腹水を発症し、最終的に死に至る。

地方病に罹患した患者の多くが初期症状として発熱、下痢を発症するが、初期症状だけの軽症で治まるものもいた。しかし感染が重なり慢性になった重症の場合、時間の経過とともに手足が痩せ細り、皮膚は黄色く変色し、やがて腹水により腹部が大きく膨れ、介護なしでは動けなくなり死亡した。

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寄生虫を体内に取り込んでしまうと発症してしまいます。
熱が出て、ひどい場合にはお腹が大きく膨らみ、
最悪の場合死に至ってしまい、多くの方が犠牲になりました。

どこで起こったの?

日本国内では以下の6地域にのみかつて存在した風土病であったとされています。

山梨県甲府盆地底部一帯。
利根川下流域の茨城県・千葉県、および中川流域の埼玉県、荒川流域の東京都のごく一部。
小櫃川下流域の千葉県木更津市袖ケ浦市のごく一部。
富士川下流域東方の静岡県浮島沼(富士川水系に含まれる現:沼川)周辺の一部。
芦田川支流、高屋川流域の広島県福山市神辺町片山地区、および隣接した岡山県井原市のごく一部。
筑後川下流域の福岡県久留米市周辺および佐賀県鳥栖市周辺の一部。

上記のうち、甲府盆地底部一帯、広島片山地区、筑後川下流域の3地域が日本住血吸虫症の流行地として特に知られていたようです。

原因の究明から終息に向かうまで
100年以上の歳月がかけられており、
そこに住む人々を苦しめていた病だったのです。

どうして発症したの?

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ミヤイリガイという淡水に生息する貝に寄生していたことが原因となっています。


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いまはどうなったの?

地域住民によるミヤイリガイの拾い集めが始まった。「ミヤイリガイをなくせば地方病はなくなる」と聞いた農民が、自発的に行動を始めたのである。それは、女性や幼い子供たちをも動員し、箸を使って米粒ほどの小さなミヤイリガイを1匹ずつ御椀に集めていくという、気の遠くなるような涙ぐましいものであった。

石灰を利用した殺貝方法は、経皮感染の解明者でもあり、広島における日本住血吸虫症研究の第一人者になっていた京都帝国大学の藤浪鑑によって考案された。藤浪は大学の研究室でミヤイリガイを飼育し、さまざまな薬剤の検討を行った結果、生石灰が条件を満たす殺貝剤になると判断した。

生石灰酸化カルシウム)は水によく溶ける粉末の物質である。有病地の水の量を100とした場合、生石灰を1から2の割合、すなわち1 - 2%にすれば、生石灰がミヤイリガイの体表面を覆って貝の体内に入り込み、神経系統を麻痺させ呼吸困難に陥らせることによって、24時間以内に90%以上のミヤイリガイを殺せることが分かった。しかも石灰は日本国内で産出、精製、製造されており、他の薬剤等と比較して価格的にも安価であった。

片山有病地では、1918年(大正7年)から4年間にわたり生石灰合計1995トンを使用した殺貝活動が行われ、片山有病地ではミヤイリガイの姿がほとんど見られなくなるという目覚しい効果を得た。

このように地元住民たちの努力により
中間宿主であるミヤイリガイの姿が少しずつ減っていきます。

この活動は親から子へと受け継がれ
長い間の努力が実ったものです。

甲府盆地では、1978年(昭和53年)に韮崎市内で発生した1名の急性日本住血吸虫症感染の確認を最後に、これ以降の新たな感染者の発生は確認されなくなった。ミヤイリガイも撲滅こそされていないものの、セルカリアに感染・寄生された個体は同時期以降には発見されなくなり、ヒト以外の哺乳動物の感染も1983年(昭和58年)のノネズミでの感染確認を最後に発見されなくなった。

1985年(昭和60年)には、虫卵抗原に対する抗体陽性者(皮内反応検査)の平均年齢が60.6歳に達するなど、保卵者数の低下および抗体陽性者の年齢構成の高齢化から、甲府盆地における日本住血吸虫症(地方病)の流行は、1980年代前半頃に終息したものと今日では考えられている。その後の1990年(平成2年)から3年間に及ぶ、甲府盆地の小中高生児童生徒4,249名を対象にした ELISA (Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay) 検査法による集団検診でも、感染者は一人もおらず全員陰性であった。

こうした経緯を経て、山梨県知事の諮問機関である山梨地方病撲滅対策促進委員会(刑部源太郎会長)は、「新たな感染による地方病患者が1978年以降発生していない」こと、「感染したミヤイリガイが1977年以降発見確認されていない」ことなどを根拠に、1995年(平成7年)11月15日、「山梨地方病の流行は終息し安全である」旨の中間報告書を同県知事に提出し、翌年2月13日の山梨県議会において、「ミヤイリガイは依然生息するものの、再流行の原因となる可能性はほとんどない」、と答申・議決され、当時の山梨県知事天野建は地方病終息宣言を行った。

このようにして1977年に日本住血吸虫症による日本人の患者は0人になり、
終息を迎えることができました。

おわりに

寄生虫というのは、本当に恐ろしいですね。
知らず知らずのうちに体内に取り込んでしまうと、、、、
ゾッとします。

でも自然界にはたくさんの寄生虫がいるのをご存じですか?

日本人が大好きな魚!
その魚の体内にも寄生虫が住んでいます!

特に有名なのがアニサキス
こちらの記事から確認してみてください!

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